病院連携事例

地域にとって
なくてはならない、
面倒見のよい
地域多機能病院であり続ける

社団医療法人養生会かしま病院
理事長 中山 大

病院総合診療を主軸とした地域多機能病院

かしま病院は、昭和58年に開設された、まだ40年程の若い病院です。同一敷地内に先行して設立された特別養護老人ホームの入所者に対し、適切な医療サービスを提供したいとの思いで、初代理事長であった私の父が、志を同じくした近隣の開業医の先生方十数名と立ち上げた、正に地域のための病院と言えます。

時代の変遷と伴にその役割も拡充され、現在は高齢者医療を礎としつつも、病院総合診療を主軸とした地域多機能病院として、急性期医療から回復期医療、在宅医療、そして地域ヘルスケア・プロモーションまで、地域医療介護福祉連携のハブの役割を担い、

①何物にも先入観を持って対応せず、先ずは介護弱者の手助けを行うこと、
②他施設にできないことこそ我々に求められていることと理解すること、
③その仕事に誇りを持ち、決して皮肉を言わないこと、
④提供されるサービスは社会的に公平であること。

以上を法人の価値観としています。

病院経営におけるスキル・シェアという概念

福島県いわき市は元来医療者不足の顕著な地域ですが、新臨床研修医制度、東日本大震災、そして福島第一原発爆発事故などを経て、地域内でも格差は更に拡大しています。

そこに新型コロナウイルス感染症パンデミックが発生し、地域内での役割拡大に反して、圧倒的人材不足に陥る中、地域にとってなくてはならない医療機関として、その持続可能性の担保は最重要課題となりました。

しかし私はと言えば、相変わらずプレーヤーとしてはそれなりの対策ができても、経営者としては今一つな状況が続きました。そんな時に母校の理事長から、「現代は教授が医局運営をする時代じゃない、タレントがその能力を十分に発揮できる環境を作ることが大事だ」というお話を聞き、目の前の霞が晴れた感じがしました。

そんなこともきっかけとなり、2022年7月よりCHCPグループから経営支援を頂けることとなったのです。

“やる気スイッチ”の入れ方

CHCPグループの支援を受けるようになっても、私を含む経営監督層に移動はなく、引き続き経営に携わらせて頂いております。処遇に関しては大きく変わることなくスタートしましたが、しっかりCHCPからサポート・メンバーが入り、役割分担が明確な組織形態へと進化しました。

そのような中で、人件費以外でのコスト・カットや算定の格上げなどで、収益構造が目に見えて改善し、懸案の人材確保においても着実な成果が出てきました。その様の中、先ごろ病床稼働率100%も達成し、CHCPスタッフの粋な計らいで、全職員に感謝の品を送ることもできました。

こういったことでも現場は未来志向が高くなり、忙しくとも以前より活気ある職場になっています。

次世代への“遺産”

今回の協業により、法人の持続可能性もある程度担保されました。しかしここで浮足立つことなく、先ずは目の前にある高齢者救急問題(看取りも含めて)をしっかり解決していけるようになりたいと思います。

そして次世代の健康長寿を目指す高齢者に向けた地域一体となった介入を中長期目標に掲げました。医療ばかりではなく、予防や介護、街づくりまで含めた、Age-Friendly Cityの概念の実行です。

CHCPに自施設の協業以外で期待する部分に、この地域内の医療介護福祉連携があります。私、というか養生会の目標は、地域にとってなくてはならない面倒見のよい病院であり続けることであり、そのために地域連携は必須だと考えています。

そうして職員が、家族や地域に対して益々自慢ができる職場にしたいと思っています。加えて建て替え問題も何とかしなければいけないとは思いますが、おそらくこれらの目標を実現していくのは次世代でしょう。

着々と育っている次世代の職員たちに、いい夢を見させてあげるためにも、これからもCHCPと協力して頑張っていきたいと思います。